TransducersとReader Conditionalsの2つは,Clojure 1.7で最も重要な機能だ – CognitectのAlex Miller氏は言う。Transducersが目指すのは,さまざまなコレクションを対象とした,構成変更の可能なアルゴリズム変換機構の実現である。またReader Conditionalの方は,JVMとJavaScriptプラットフォーム間で,Clojureの可搬性を向上するものだ。
Transducers
TransducersとはReducing Function用のTransformer,つまりReducing Functionを取得して,別のReducing Functionを返すような関数である。Reducing Functionとは,reduce
で使用可能な関数のことを言う。Rich Hickey氏は,Transducersの最大のメリットについて,次の3つの主要な関心事を分離可能にすることだと説明している。
- Reducing Functionが何を行うのか
- 適用されるコレクションの種類
reduce
への入力
Transducersをサポートするため,map
やcat
, filter
などClojure 1.7のシーケンス関数の大部分に,入力コレクションが省略された場合の引数形式が追加されている。例えば,
(def tr1 (map f))
これはmapのTransducerを返す。さらにTransducersは,comp
関数を通じて構成することも可能だ。
(def xform (comp (filter odd?) (map inc)))
この式は新しいTransducerを提供する。Transducerができれば,ベクタデータなどいくつかの方法でそれを適用することが可能になる。
(Sequence Xform data)
Sequence
に代えてTransduce
関数を使用すれば,data
にreduce
を適用した時と同じ結果と,独自の合成関数が得られる。
上にあげたサンプルコードの最大のメリットは,生成される遅延シーケンスがただひとつであることだ。単純な関数合成を使用した場合のように,3つの遅延シーケンスが生成されることはない。
Reader conditionals
Reader Conditionalsは,.cljc
ファイルのコンテキストで有用な機能だ。.cljcファイルはClojure 1.7で新たに導入されたフォーマットで,ClojureあるいはClojureScriptのいずれからもロードできる。このアプローチによって,ライブラリや,ひとつのコードベースで複数のClojureプラットフォームをターゲットにすることが可能になる。そしてReader Conditionalsは,プラットフォーム特有のコードの扱いを容易にするメカニズムを提供する。
Reader Conditionalsの式では,cond
と同じような形式で,各プラットフォーム上で使用されるプラットフォーム固有コードを指定することができる。例えば,次の式は,
[1 2 #?@(:clj [3 4] :cljs [5 6])]
Clojureでは[1 2 3 4]
,ClojureScriptでは[1 2 5 6]
と評価される。
TransducerやReader Conditional以外にも,Clojure 1.7ではさまざまな機能や拡張が導入されている。