スタッフプラスエンジニア(staff-plus engineer)としての自分の有効性を高めるためには、コミュニケーション、リスニング、技術的戦略、ネットワークのスキルを高めることが大切だ。Blanca Garcia Gil氏はQCon London 2022で、スタッフプラスエンジニアとして成功するための5つの行動指針について講演した。
数年前、Pat Kua氏、Will Larson氏、Tanya Reilly氏らテクニカルリーダは、スタッフプラスエンジニアの仕事の内容やキャリアパスに関する明確な説明が存在しないことに気が付いた。そこで氏らは、そのテーマを"StaffEng"のブログでそれを資料化し、エンジニアたちにインタビューし、さらにはTanya Reilly氏の"The Staff Engineer's Path"、Will Larson氏の"Staff Engineer: leadership beyond the management track"といった書籍として出版した。
スタッフプラスエンジニアになれば、より長い時間働くことになるが、それを受け入れなくてはならない。その見返りは、組織により多くの影響を与えられるようになることだ、とGil氏は言う。
スタッフプラスの役割には、リーダ、アーキテクト、問題解決者(solver)、補佐役(right hand)など、さまざまな側面がある。
問題解決者の役割は危機対処における一時的なものだが、必要ならば長くなることもある。役割は組織によって当然違うので、キャリアパスにも大きな違いが生じる、とGil氏は言う。
その上で基本となるのが、コミュニケーションとリスニングのスキルである。過小評価されているスキルでもあり、キャリア開発プランでは触れられないことも多いのだが、スタッフプラスエンジニアとして成功するには重要なのだ。
技術的戦略は、それに対して影響を与えるだけでなく、をれをチームに対して説明するためにも、理解しておく必要がある。技術的戦略を理解することで、多くのチームにまたがる長期的なプランニングに影響を与え、共通の目標に向かって足並みを揃えることができるようになる。
ネットワークが重要なのは、持ち込まれる疑問の答を、自分がすべて知っているとは限らないからだ。自身のネットワーク構築に時間を割くことを、Gil氏は提唱する。そのためには、異なる分野の人たちと話をしたり、技術を専門としない人たちに技術的なことを説明する練習をするとよい。
テクニカルリーダは、一緒に働く人たちに心理的安心感を持たせることができなくてはならない。さまざまな人たちと会うことが必要だ、とGil氏は言う。他の人たちの指導や支援に時間を割くことだ — 周囲の人たちに対して投資することは、これまでにひとりで行うことのできたものよりも、はるかに大きな影響を与えることになるだろう。結果としてこれが、組織に永続的な変化をもたらすことになる。スタッフプラスの役割は、すべての人たちが貢献できるようにしなければならない。"チームの強化役になるのだ"、とGil氏は言う。
最後に忘れてならないのは、自分自身のキャリア管理だ。目標の設定から始めよう。後は定期的にそれを見直して、方向性を失わないようにすればよい。バーンアウトしないためにも、自分自身を大切にすることを忘れてはならない。それもまた、周りの人々に前向きな影響を与えることになるだろう。キャリアを促進するためには、理解者を見つけることだ。
Gil氏の講演のポイントは次のものだ。
- 役割への期待と、組織において取り組んでいるレベルを理解する
- コミュニケーションやリスニング、技術的戦略、ネットワークといったスタッフプラスの役割を、意図的に取り入れる
- 技術的リーダシップのパスにおけるスタッフプラスの役割を意識する
Blanca Garcia Gil氏は、2022年5月10日~20日のQCon Plusで講演する予定である。