ウェブアクセシビリティは、私たち全員に利益をもたらす。デザイナー、開発者、テスト担当者はウェブアクセシビリティをチェックでき、例えば、セマンティックHTMLの使用、コーディング時のウェブ標準への準拠、ウェブアクセシビリティのテストなどにより、ウェブやサービスをより包括的なものにすることができる。各国では包括的基準を実施するための規制を導入している。
Josefine Schaefer氏はRomanian Testing Conference 2023でウェブアクセシビリティに関する講演を行う予定である。この会議は2023年6月6日から8日までクルージュ・ナポカで開催される予定だ(原文記事公開は2023年4月6日)。
Schaefer氏によるとウェブアクセシビリティを重視するには、それなりの理由がある。ウェブを含む情報通信技術にアクセスできることは国連が定める基本的人権である。また、ウェブアクセシビリティは何らかの障害を持つ人たちだけでなく、すべての人に恩恵をもたらす。
明るい日差しの中でスマホを見るなら、十分な色のコントラストがある方が良いし、音量を上げられない環境であれば、キャプションは動画の内容を理解するのに役立つ。このような例はたくさんある。
Schaefer氏はセマンティックHTMLの活用とそのメリットについて話す。セマンティックHTMLとはHTMLの要素をその目的に沿って使うこと意味する。例えば、最も重要な見出しにはH1を使い、ボタンを使うときにはボタン要素を使う。また、これは補助機能を利用するユーザーにコンテキストを与え、ネイティブHTMLでは手動で追加しなければならないような多くの機能が継承されているという付加的な利点がある。
例えば、入力要素に正しい型を追加したり、見出しの構造が階層的であることを確認したり、divの使用方法を反映することができる。
Schaefer氏によるとウェブアクセシビリティをテストする際に役立つツールがある。ページを手動でタブ操作することでキーボードのアクセシビリティはテストできるが、例えばtaba11yのようなツールを使ってタブフローを視覚化することもできる。また、axe dev toolsのような、より一般的なツールもあり、ページを監査して、改善すべき点を導いてくれる。色のコントラストについては、前景と背景のコントラスト比を評価するのに役立つさまざまなツールもある。
InfoQはウェブアクセシビリティの向上についてJosefine Schaefer氏にインタビューした。
InfoQ: ウェブアクセシビリティのさまざまな側面とは何か?
Josefine Schaefer氏:最も一般的な問題の1つは色のコントラストに関するものだ。つまり、背景と前景の間に十分なコントラストをつけ、コンテンツが認識できるようにすることだ。 もうひとつ重要なのは、キーボード・アクセシビリティだ。マウスやトラックパッドで操作できるだけでなく、キーボードや支援技術を使って操作できるようにしたい。
InfoQ: キーボードアクセシビリティを向上させるにはどうしたらいいか?
Schaefer氏:マウスやトラックパッドだけでなく、リンクやボタンなどのインタラクティブな要素にキーボードでもアクセスできることを確認する。アクティブな要素にフォーカスが当たっているか、色のコントラストが十分であるかを確認する。ホバースタイルを使っている場合は、ホバーではなくタブでページを移動する人にも情報が伝わるようにする。そしてもちろん、ユーザーをどこにも「閉じ込め」ていないことを確認すること。キーボードがないと出られないようなアプリケーションは、あってはならない。
InfoQ: ウェブアクセシビリティの未来はどうなるか?
Schaefer氏:将来的にはウェブ・アクセシビリティの重要性とそれが含む様々な側面に対する認識が更に高まることを期待している。理想を言えば、ソフトウェアやウェブ開発におけるウェブアクセシビリティのテストを完全に正常化する方向にシフトしていくことだ。包括的基準を施行するための規制を導入する国が増えつつあるが、これはそれを当たり前にするための多くのステップの1つである。また、いわゆる「見えない障害」に対する認識が高まり、特にニューロダイバーシティの人々やその経験に光が当たることを願っている。
InfoQ: InfoQの読者がウェブアクセシビリティについてもっと知りたい場合、参考となる情報源はあるか?
Schaefer氏:W3はウェブアクセシビリティの基礎について、非常に詳細な概要を提供している。また、a11yプロジェクトのようなコミュニティ主導のプロジェクトもあり、アクセシビリティ関連の様々なトピックに関する多くのリソースや素晴らしい記事を掲載している。Rob Dodson氏のa11ycastsもウェブアクセシビリティについてもっと知るための素晴らしいリソースだ。