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アジャイルにおけるビジネスアナリストの役割

原文(投稿日:2020/08/20)へのリンク

アジャイルな組織においても、ビジネスアナリストにはその役割がある — プロダクトオーナになることも、チームに参加することも、あるいはプロダクトの枠を越えてプロダクトオーナやチームとコラボレーションすることも可能なのだ。

News UKでビジネス分析の責任者を務めるMaia Nikolova氏は、Aginext 2020で、ポスト・アジャイルの世界におけるビジネスアナリストの立ち位置について講演した。

アジャイルの黎明期には多くの人々が"ビジネスアナリスト"という肩書を降ろしたいと思ったが、同時にそのスキルセットをどうするべきかという問題が生じた、とNikolova氏は言う。明確な選択肢のひとつはPOになることだが、さまざまなプロダクトが多くの依存関係を持ち、それらを越えたイニシアティブが数多く存在することを考えれば、極めて限定的なものになる。

News UKのBAはアジャイルチームの中にあって、実行すべき個々の作業に関わる詳細な情報を収集し、それを確実に提供するという、極めて重要な役割を担っている。

Nikolova氏は、氏が以前働いていた企業について話した。その企業のBAは、従来的なPMO組織の一部という位置付けでありながら、極めてアジャイルな方法でイニシアティブの提供を支援することができていた。すべては組織の規模や業界の状況、アジャイルプラクティスの成熟度次第なのだ。

POとBAの境界線は多くの意味で曖昧であり、確実に成功を収めるために必要な組織構造が何であるかが問題なのだ、と氏は言う。2つの役割は同じである必要はなく、対立する必要もないが、それぞれがチームに何をもたらすのか、なぜ必要なのかを考えなければならない。

フレームワークが代わろうとも、BAの役割には非常に大きな価値があるのだから、自分のスキルに自信を持つことが重要だ、とNikolova氏は言う。方法は今までとは変えなくてはならないだろう、だが、変化に対応できなくて、BAに何ができるというのか?

Maia Nikolova氏に、アジャイル組織におけるビジネスアナリストの役割について聞いた。

InfoQ: ビジネスアナリストの責務とは何でしょうか?どのような成果を期待するべきなのでしょう?

Maia Nikolova: 責務と成果について話せば1日中でも話せると思います。というのは、ビジネスアナリスト(BA)の役割は組織ごとにさまざまで、期待されるものもそれぞれ違うからです。

アジャイルプラクティスに十分習熟したチームならば、BAは一般的に、さまざまな対話や意思決定を促進したり、あいまいな要件を意味のあるものにする仕事をしていると思います。ある意味でこれは、一連の要件を収集するという従来的なBAの役割に近いとも言えますが、ウォーターフォールと違うのは、要件に対して定常的にイテレーションを行うことと、開発チームやプロダクトマネージャ、ビジネス上のステークホルダ、UX&Dチームなどと議論を重ねてアプローチすることです。重要な責務は(曖昧ではありますが)、プロダクト開発を継続可能にするように、適切な情報を適切なタイミングで提供することです。

InfoQ: スクラムなど、アジャイルフレームワークを使用するチームにおけるビジネスアナリストの役割については、どのように見ていますか?

Nikolova: どちらかというと私は、かなり"トラディショナル"な見方をしていると思います — BAはスクラム/アジャイルチームの一員にもなれますし、スクラム/アジャイルチームが何か特別な作業を行う上で、専門知識を必要とする場合に参加することも可能です。

InfoQ: BAを管理する上での課題は何でしょう?

Nikolova: 総括的に言えば、アジャイルBAは素晴らしい役割だと思います!

BAマネージャとしての私たちに必要なのは、次のようなことです。

  • 役割を理解すること — 柔軟で、有益で、全体の"ギャップを埋める"人としてのBAの能力がゆえに、BAの役割はますます曖昧になってきています。アジャイルチーム内で作業することに関しては、これが興味深いと同時に、素晴らしいものである理由になっているのですが、最終的にはこれも、他の人たち、特にその役割に馴染みのない人たちへの説明を難しくしているのです。説明が難しければ、それが提供する価値も過小評価されやすくなりますから、BAが何をするものなのか、自身の"ピッチ"で明確にすることが大切です
  • 職務に固定的観念を確立すること — あなたが優れたBAならば、あなたを失いたいと思う人はいないでしょう。ですから、あなたがプロジェクトマネジメントなどに移行したいと思っても、あなたにBAの職務を提供し続けるはずです。ですから、BAを管理する上では、たとえ彼らが統制の範囲外にいたとしても、彼らの職務上の願望を積極的にサポートし、彼らに代わって働きかけを行うことが重要なのです。
  • 分析の複雑性に"上限(celling)"を設けること — 常にチームとともにいて、彼らの問題解決を支援しているのでは、次の大きなイニシアティブの分析に集中的な時間を取ることが難しくなります。細かな分析案件に飽きることのないようにバランスを取ることは必要ですが、分析にのめりこみ過ぎてプロダクトチームから必要以上に距離を取ることも避けなくてはなりません。

InfoQ: BAチームが自分たちの役割やキャリア選択に満足するためには、どうすればよいのでしょうか?

Nikolova: よい質問ですね!私のチームには20人ほどのメンバがいますが、彼らとは定期的に話をするようにしています。現在では明確なコンピテンシフレームワークが確立していて、News UKにおけるキャリア以外で何をしたいのか、BAたちと会話する上でのガイドになっています。

さらには、進歩の道筋が明確で理解されていること、本人が望めばチーム内に新たな役割を求められる機会のあることを全員が認識していること、これらを確実なものにしているのです。肝心なのは、成長とスキルアップの機会を提供することです。

InfoQ: 組織の中で、仕事にアジャイル手法を取り入れようと考えているBAに対して、何かアドバイスはありますか?

Nikolova: オープンマインドでいてください!自分からアジャイルのトレーニングを要求したり、オンライントレーニングを探したりするのです。可能ならばアジャイルミートアップに参加して、アジャイルを経験していて、メンタになってくれそうなBAを探しましょう。

InfoQ: BAの今後にどのようなことを期待していますか?

Nikolova: テクノロジの他の役割と同じように、とてもエキサイティングで展開の早いものになると思います。もう一度言いましょう — 重要なのはオープンマインドであることと、変化を受け入れることです。プロセスマッピングのような従来のBAのスキルは今後も必要ですが、長々としたドキュメントの時代は(それがコンプライアンスや規制目的でない限り)もはや終わりました!情報をシンセサイズしてプロダクションチームに提供し、迅速かつ正確なディシジョンを可能にすることが、BAの行うべきことなのです。

すべてのBAに対して私が言いたいのは、分析とデータ一般をしっかり把握すべきだ、ということです。目の前にあるデータを解釈する方法を理解し、それを通じてストーリを語ることが、今後のビジネスで評価を上げる唯一の方法です。自身でトレーニングを行い、可能ならばあなたの会社の分析チームの後を追ってください!

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