混沌とした状況で突然リモートワークを強制されるような、環境の根本的な変化にどのように対処したらよいでしょうか。ソフトウェア開発チームの働き方を形作っている、新出の優れた実践や新しいアイディアはどのようなものでしょうか。チームの生産性を高めながら、より安全で多様性のある職場にするためにはどうすればよいのでしょう。このレポートは、技術リーダーが組織やチームにプラスの影響を与えるような中長期的な意思決定を行うのを支援し、個々の貢献者が、どこで仕事をしているかに関わらず、職場でより良い経験を積むのに役立つ実践、アプローチ、ツール、技法、フレームワークを見つけるのを支援することを目的としています。
Covid-19が社会や組織、個人に与えた影響を前提にすると、2020年の大きな変化は、より人間的な組織と突然多くの人がリモートで働くようになったことを中心にしています。
多様性と包摂性の取り組みは継続しており、情報技術が真に包摂的で歓迎されるようになるには、まだまだ長い道のりがあります。
トピックが上の図のグラフの右側にある場合、InfoQにはそのトピックに関するコンテンツが既にたくさんあります。私たちはそれらのトピックが新しかった頃に取り上げており、イノベーターやアーリーアダプターが学んだ教訓は、個人、チーム、組織がこれらのアイディアや実践を導入するときに、ガイドとして役に立つでしょう。
グラフの左側に表示されている技法や実践は、現在、イノベーターやアーリーアダプターが使用していると思われるものです。私たちは、これらのアイデアを読者にお届けすることに重点を置いてレポートやコンテンツを作成しています。読者がこれらの技法や実践を今、調査してみるか、あるいは、展開を見守るかを決められるようにするためです。
私たちはこの1年ほどで見えてきた重要なトレンドについて、編集者に見解を聞きました。また、ビジネス・アジリティ・インスティテュートの創設者であり最高経営責任者であるエバン・レイボーン氏に、2020年のビジネス・アジリティのあり方についての考えを聞いています。
以下は、カルチャー&メソッド編集部の、これまでの振り返りと2020年以降についての意見です。
Shane Hastie — カルチャー&メソッド編集部のリードエディター
このチームでカルチャーとメソッドに注力しているため、私は組織の文化が人々の生活に与える影響について非常に意識しています。アジャイル宣言が書かれてから19年間、情報技術の職場でアジャイルアプローチが着実に採用されているのを見てきました。今では、主要な組織がアジャイルについて語ろうとしないのは、それが普通の働き方だからです。短い納期サイクル、クロスファンクショナルチーム、権限を与えられた人々、技術的な卓越性が、新しいITチームを立ち上げるときの話題です。最高の組織は、文化が競争上の優位性であることを認識しています。自分らしくいられる場所を作り、仕事に喜びを見出せるようにすれば、持続可能な収益性が後からついてきます。
残念なことに偽りのアジャイルはまだ蔓延しています。文化的な変化を伴わないアジャイルの導入や"デジタルトランスフォーメーション"です。科学的には明らかです。組織のパフォーマンスは組織文化に直接関係しています。Nicole Forsgren博士、Jez Humble氏、Gene Kim氏の著書であるAccelerate: The Science of Lean Software and DevOps: Building and Scaling High Performing Technology Organizationsの図に示されている通りです。
2018年のQCon San Franciscoの基調講演でForsgren氏とHumble氏は関連するトピックについて話をしています。
それでも足りていないのは、テクノロジー産業の一部になっている構造的な機能不全のいくつかに対処することです。
あらゆる種類の差異がチームや組織に価値をもたらすと認識されるような、包括的で多様性に富んだ環境になるまでには、まだまだ長い道のりがあります。多様性のあるチームの方が均質なチームよりも創造性が高いことは、科学的には明らかです。しかし、このことはチームや組織の人々には伝わっていません。
ソフトウェアにおける倫理は、私たちが追いつく必要があるもう一つの分野です。ほとんどの専門職には、実務者が同意し、それに従うことが認められた倫理規定があります。私たちのチームの何人が、ACMのコンピューティング倫理規定があることを知っていて、署名したことがあるのでしょうか。
しかし、希望も見えています。国家規模でアジャイルの考え方を適用するためのアイデアの出現です。Tedx TalkでのRashina Hoda博士によるアジャイル国家の特徴についての講演は社会のあり方に対するもっとも重要な示唆のひとつとして、私は大いに注目しました。COVID-19のインパクトによってますます重要になっていると思います。
アジャイルな社会の4つの価値 プロトコルとルールよりも人とインタラクション Rashina Hoda博士 - https://www.infoq.com/news/2019/10/traits-agile-nation/ |
よりローカルな規模では、ビジネスアジリティは流行語にとどまらず、意外な業界の最先端の組織がアジャイルな働き方を採用し、より人間味のある職場への真の文化的シフトの上に成り立っています。アジャイルな企業は従業員のエンゲージメントを高め、財務や人事のような分野では新しいアプローチを採用し、調達でさえ協調的になりつつあります。自律的なチーム、自己選択、ダイナミックなリチーミングなどは、人々がどのようにエンパワーされ、組織が人々を信頼することで測定可能な利益を得ているかを示す例です。
対人レベルでは、リモートチームはますます当たり前になってきており、リモートチームのメンバーがより効果的にコミュニケーションをとるのを助けるために、きれいな言葉や解放的な構造というような技法などのテクニックが登場し、リモートでの人と人との間にしばしば生じる障壁を克服しています。
最近のCOVID-19の流行により、より多くの人が突然リモートで仕事をしなければならなくなったため、リモートチームの結束力を高めるためのツールやテクニックは重要です。チームはリモート環境でモブプログラミングをするチームもあります。
もう一つの大きな変化は、複雑な問題に直面したときにスケールアップしようとするのではなく、大きなフレームワークからスケールダウンしようとする動きがゆっくりと進んでいることです。NoProjects/バリューストリームの採用は、より多くの組織で行われています。
プラクティスレベルでは、ウォードリーマッピングは、最近この空間に入ってきた数少ない真に新しいアイデアの一つです。2005年にサイモン・ウォードリーによって発明されたウォードリーマップは、複雑さを理解するための真に強力なツールであるため、人気を集めています。特に、ウォードリーマップは英国政府内で使用されており、政府デジタルサービスを新しくするための戦略的計画と最良のターゲットを特定するための政府デジタルサービス(GDS)や国連グローバルプラットフォームの中で使用されています。 実践のレベルでは、ウォードリーマッピングは数少ない真の新しいアイディアだと思います。Simon Wardley氏が2005年に作ったこのアイディアは、複雑さを理解するための真に強力なツールであるため、人気を集めています。英国政府内で使用されており、特に政府デジタルサービスで使われています。政府のデジタルサービスの刷新の戦略的計画と最良のターゲットを特定するために活用されています。また、国連グローバルプラットフォームの中でも使用されています。
InfoQは昨年のMap Campにパートナーとして参加しました。ロンドンのサドラーズウェルズ劇場での講演を動画にしています。
Ben Linders — トレーナー / コーチ / アドバイザー / 著者 / 講演者、InfoQの編集者
ファシリテーションがいかに重要であるかという意識が高まっています。アジャイルな振り返り、チームチャーター、製品改良などのチームベースの活動では、協調的で安全な文化が不可欠です。優れたファシリテーターは独立的で中立的だと認識され、このような活動の成果を大きく改善します。ファシリテーターがよく使うのは、コアプロトコル、解放的な構造、ゲーミフィケーション、自己選択です。
リモートワーク、例えば、在宅勤務、デジタルノマド、(完全な)リモートチームなどが増加しています。一緒に働いているときに使われていた技法がリモートでも使われるようになっています。例えば、リモートでのアジャイルな振り返り、リモートペアリング、リモートでのモブプログラミング、リモートでのモブテスティング、オンライントレーニング、コーチングです。
アジャイル実践者向けの資格(認定スクラムマスター、SAFe SPCなど)や資格を取得する人の数は今も増え続けており、企業は資格を持っていない人よりも認定スクラムマスターやアジャイルコーチを好む傾向にあります。しかし、それらの認定資格の価値が問われるような変化が起きています。ソーシャルメディア上ではアジャイル認証についての議論が行われており、認証書自体がその人のスキルや能力を証明するものではないと述べられており、認証業界は量を重視するようになったという印象が生まれています。
Raf Gemmail — アジャイルとDevOpsのコーチ、教育者、InfoQの編集者
完全なリモートワーク
私はこの1年の多くをリモートワークとコラボレーションに捧げてきました。仕事の大きな歴史の中で、この新しい領域は、第四次産業革命の中で競争するための鍵を握っています。リモートワークは、今年のリモートワークの現状レポートに示されているように、一緒の場所で働くことの二次的な存在として見られているという最初のハードルを急速に乗り越えてきました。イノベーターたちは、タイムゾーンを超えたコラボレーションモデルの定義、十分な対面での投資、それを実現するための学習やフォーマットの模索など、まだ課題を抱えています。私自身がリモートでの振り返りやコラボレーションセッションを実施してきたことで、固定フォーマットの振り返りよりも創造的なものに対しては、やはり自分自身を巻き込む必要があることが実証されました。私自身がリモートで振り返りをしたりコラボレーションセッションを実施したりしたことで、固定的な形式の振り返りよりも創造的なものには、自分自身を巻き込む必要があることがわかりました。
チームの文脈を反映するための、壁のスペースや利用可能なものを最適に利用する方法を見つけることについては、ツールや技法は物理的な世界と同じ進化の道を辿っています。 リモートペアリングツール、会議機能、google jamboardのような共有ボードはとても成熟しています。
コラボレーションツールはこれまで以上に充実しています。これは、最近のCOVID-19パンデミックによって、リモートワークへの強制的な移行によって実証されています。中国企業は、事業継続のためにリモートワークの利用を余儀なくされ、短期間で生産性が向上したことを目の当たりにしています。
高等教育に匹敵するオンデマンド学習
私は、伝統的な高等教育の認定資格の進化を最前列の席で見てきました。MOOCsやオンライン学習プラットフォームは、伝統的な分野の教育と現在の業界関連のアプリケーションパターンを組み合わせたものです。さらに、配信の仕組みは、チームや個人が学習にアクセスしやすくするために、プルベースのものへと変化しつつあります。個人的には、多様な経験とブートキャンプトレーニングを組み合わせた人材を採用することで、彼らは成長し、顧客やビジネスの価値を提供するためのより幅広いドライバーを持つための良い基盤を得ることができると感じています。これは、リモートワーカーにリモートティーチングを提供する方法を改善しているというBenの指摘とよく一致しています。
状況対応型リーダーシップ
ウォードリーマップや組織的マインドフルネスのテクニックを継続的に使用して、特定の製品開発のユニークな文脈をわかりやすくします。また、組織の複雑さや認知的負荷がチームやその製品に与える影響についての理解も深まってきており、最近ではチーム・トポロジーという本にも取り上げられています。
私は、状況的な文脈を考慮に入れる試みをして、個人、文化、メンタルモデル、信念体系に関連したチームや組織内の全体的な緊張を認識しようとしてきました。Spotifyのフルスタックコーチングで示されているように、イノベーターのレベルでは、より広い文脈的理解をコーチングに適用したいという欲求が高まっているのがわかります。このような状況的なリーダーシップは、文脈的な洞察なしに判を押したような同じやり方を繰り返したいという衝動に対抗しています。
エンジニアリングパターン
DevSecOpsとdev first securityは、サイバー犯罪がますます盛んになっている世界において、セキュリティに対するより総合的なアプローチを実践する方法に影響を与え続けています。
昨年のQCon Londonでは、Snykの創業者であるGuy Podjarny氏がDevSecOpsの定義は、共有所有権の幅の広さ、インフラストラクチャの安全性確保のためのコラボレーション、そしてソフトウェア手法にセキュリティを組み込むことであると述べました。昨年に発表されたブログ記事の中で、氏はdev first security"を、開発者によって行われるセキュリティの大部分の作業"と定義しています。
また、デザインによるセキュリティ、軽量な脅威モデリング、セキュリティチャンピオンシップを通じて、セキュリティチームを早期に巻き込み、セキュリティの考慮を引き入れる動きが加速しています。2019年のQCon New Yorkでは、Ray Bango氏はセキュリティチャンピオンシッププログラムが"今起きている最大の動きだ"と話しています。
アーキテクトの役割も進化を続けて、進化のための境界線と方向性を設定するのを助けています。デロイトは最近、コラボレーションを支持して象牙の塔を壊しつつあるArchitecture Awakens運動について書いています。
個人的な経験では、組織をBDUF(事前の大規模設計)の実践への回帰に導くリスク回避の復活の兆しを感じています。エビデンスに基づいた段階を踏んで、ビジネスのアジリティを達成するために、コーチングとその支援は引き続き重要です。
保守的な人々にとっては、既存のスケーラブルなアジャイルアプローチに加えて、伝統的なアーキテクチャフレームワークも進化しており、アジャイルと学習中心の文脈の中でより多くの境界を提供しています。その例として、TOGAFのメンテナであるThe OpenGroupは、現在、Open Group Agile Architecture Frameworkの標準を定義しています。
ソフトウェアにおける倫理
アーリーマジョリティに急速に広まっています。私たちの業界で、今のように、倫理的に意識の高い人たちが、役員会を超えて、自分たちの組織やプロジェクト、観察しているパターンの善し悪しについて自由に質問できるようになった時代は、これまでありませんでした。Shane Hastie氏はCat Swetal氏とKingsley Davies氏とInfoQ Culture & Methodsポッドキャストで、倫理と倫理の領域での生活に伴う道徳的な義務について話しました。
これは、倫理的および法的な難問に対処するためのチャネルを作成することによって、現在の内部告発文化に対応するために、組織でますます見られるようになっています。
昨年、The Guardianが、元GoogleのJack Poulson氏が倫理的な開発者による内部告発を支援するためにTech Inquiryを立ち上げたことを報じています。また、暗黙のバイアスに関する倫理的な問いをせずにデータの表現について語ったり、個人を特定できる情報の活用や法的な帰結について話すことは不自然でなくなりました。これらはGDPRのような法的な動きに大いに駆動されています。GDPRは世界的に複製されています。最近では、カリフォルニア州でもCalifornia Privacy Actが施行されました。
職場の社会的意識はますます高まっています。これは良いことだと思います。
Craig Smith — アジャイルコーチ・トレーナー・ InfoQの編集者
IT業界やアジャイルコミュニティにいると面白いことの一つは、問題に対して常に新しいアプローチがあり、学んだり実験したりすることができるということです。
イノベーターたちは、解放的な構造やウォードリーマッピングなどの技法を使うことにメリットを見出し始めており、基本に立ち戻って、シンプルさとスケールダウンに焦点を当てた大規模なスケーリングフレームワークの使用に挑戦しています。これは、文化に挑戦し、職場に喜びを生み出すことに焦点を当て、ビジネスのアジリティや#noprojectsといったより広範な組織的課題に取り組む組織でアジリティが繁栄することを実感しているアーリーアダプターの一部が主導しています。
アジャイルとデジタルトランスフォーメーションに苦戦している多くの組織を背景にして、これらの新しい働き方をサポートする役割、特にソフトウェア開発やアジャイルコーチングに関する倫理観や、真のプロダクトマネジメントの成熟度にスポットライトが当たり始めています。
興味深いことに、大多数の人がアジャイルとクロスファンクショナルチームとフルスタック開発の実践を十分かつ真に受け入れているので、組織が現代のアジャイルの核心の原則の方が、アジャイルのフレームワークや実践に固執することよりも重要であるということを理解する、という本当の変化が始まるのではないかという期待があります。
Shaaron A Alvares — アジャイルとDevOpsのコーチ、InfoQの編集者
包容性と帰属意識
これまで採用の多様性に焦点が当てられてきましたが、包摂性と帰属意識を優先させる文化やマネジメントの発展に向けて動き出しています。包摂性は人事だけの責任ではなく、職場の全員の責任であり、チームは包摂的なコラボレーションの重要性を理解し始めています。より多くの組織やチームがアジャイルの実践やファシリテーションの技法を活用して、より包摂的なチームを育成しています。また、マネージャーやチームは、より持続可能で本物の安全な職場を創造するために、恐怖の心理と生物学を探求しています。組織は帰属意識を基本的な安全の必要性として認識し、従業員は職場に自分自身全体を持ち込むように促されています。
状況に応じたマッピング
複雑さを理解し、操縦するための努力の中で、数少ない組織が状況に応じた意味のある組織的実践を行なっています。バリューストリーミングマッピング、戦略的意思決定のためのバリューチェーンマッピング(Wardley Mapping)、カスタマージャーにーマッピングなどです。顧客、エンドユーザーに対する価値にフォーカスし続けるためです。また、これらの実践は、より良い内部組織のプロセスを分析し、サイロ、非効率性を打破し、エンドツーエンドのリードタイムを減少させることを目指しています。
DevOpsスキルアップ文化
文化としても知られるDevOpsは、開発と運用の間でより良い成果を生み出すために、組織を跨いだコラボレーションと知識共有のチーム文化に注力しています。DevOpsのスキルアップとスキルクロスは組織のデジタル戦略の一部になりつつあります。
ローカリティとシンプルさの5つのDevOpsの理想は、ユニコーン・プロジェクトのジーン・キム氏が提唱したものです。「フォーカス、フロー、喜び」、「日常業務の改善」、「心理的安全性」、「カスタマー・フォーカス」は、より良い働き方、より良い価値をより早く、より安全に、より幸せに提供するためのDevOps運動の重要性を再確認させてくれます。
DevOps DojosはDevOpsの技術と文化を試し、テストし、トレーニングし、オンボードするための安全な場所として、まだ非常に少数でありますが、組織に浸透しはじめています。
悪いアジャイル対人間中心の働き方
あまりにも多くの大企業が、組織構造とヒエラルキーの現状維持を、大規模なチームや製品と共に好みます。彼らは、組織文化、人、人間中心の可能性と革新を解き放つのを助ける未知の働き方を探求するよりも、既知の実践と技法に重きをおいた既製の大規模なスケーリングフレームワークを活用します。
Doug Talbot — エンジニアリングリーダー、組織ダイナミクスリーダー、InfoQの編集者
今のところ最大の技術トレンドではありませんが、気候変動と技術の関係は地球にとって非常に重要なトピックだと感じています。テクノロジー業界は、自社のコード、インフラ、最終製品の気候変動コスト、使用しているサードパーティに責任を持つべきだという圧力が高まってきています。Sal Freudenberg氏とChris Adams氏がこのことについてMapCampで話しています。Qcon LondonでPaul Johnston氏は気候コストも考慮した場合、異なるクラウドプロバイダーを使用する場合の相対的なコストを指摘しています。氏はこのコスト分析にウォードリー・マッピングが有用であることを示しました。Spotify Agileで有名なHenrik Kniberg氏は気候問題に対する運動を擁護しており、TEDは最近、大きなキャンペーンを始めています。Microsoftが2030年までにカーボンニュートラルになると最近発表したことも、この流れに対するシグナルと見られています。また、この問題はBBCのこのシリーズが示す通り、一般の人々の意識にも浸透し始めています。Paul Johnson氏とAnne Currie氏がこのシリーズで取材に協力しました。
テクノロジー・リーダーシップにおける重要な新しい傾向は、2つの主要なシナリオに焦点を当てています。トレンド1:リーダーは今、自分たちがリードする人間のコミュニティをどのようにサポートするかを理解しなければならない。Mairead O’Connor氏はQCon London 2019でなぜ人はコンピュータよりも複雑なのか話をしています。今、リーダーとして本当に優秀になることは、システム思考、心理学、社会学、人類学を理解し、長年の学習を伴う新しいキャリアパスを効果的にスタートさせることを意味します。トレンド2:リーダーは、知識労働者のための人間的なパラダイムを壊さないような組織構造やサービス、例えば人事や財務、を創出しなければならない。Spotify(Spotifyのキャリアパスブログ)もING(INGの人事の変化)もこのトレンドのイノベーターでした。現在では多くの企業がこれらのアイデアを採用しているのを目の当たりにしています。
CIPD(イギリス人事教育協会)のような従来の人事の実践は変化し、よく考えられた文化の設計を可能にする必要があります。それは、ホロクラシー、または、クロスファンクショナルチームやエンパワーメントのようなアジャイルの実践のためになるでしょう。私たちは根本的に異なる人事モデルと、人事アジャイル宣言がINGのような大企業に浸透していくのを見てきました。このトレンドは加速しています。
最後に一つのトレンドについてお話したいと思います。ほとんどの組織が、デジタルトランスフォーメーションの実践中かすでに完了していると言います。私は今、デジタルトランスフォーメーションをレイトマジョリティに位置づけています。デジタルトランスフォーメーションとは、もともとは、新しいデジタル技術を使用することのメリットを最大化し、機械的な作業を排除してコストを最小化し、顧客が現代的なデジタルインタラクションを楽しめるようにするために、組織、その労働力、プロセスを再構築することを指していました。しかし、多くの組織が旧態依然とした構造を変革する能力に限界があることを発見したため、デジタルトランスフォーメーションはもっぱらデジタル化となりました。2017年以降は、RPAの導入との相関があるようです。組織のデジタルトランスフォーメーションは、アジャイルとDevOps / DevSecOpsの究極の延長線上にある概念としてのビジネスのアジリティのトレンドと密接に結びついています。
ゲスト — Evan Leybourn
私たちは、他のことよりも、仕事に時間を費やしています。これは、悪いこと、というよりも、現代の生活の事実です。仕事が私たちの人生の最大の部分であるなら、それはまた、私たちの人生の最高の部分でなければなりません。喜び。エンゲージメント。目的。これらは、従業員と雇用主が同じように努力すべき文化的な理想です。
上の文化と方法のグラフには、いくつかの素晴らしいアイデアがあります:解放的な構造、自己選択、[ソシオ/ホラ]クレイシー、コーチング、昔ながらのアジャイル。そして、他にもたくさんのアイディアがあります。そのどれもが、職場をより良くするために、人々によって生み出されたものです。このようなアイデア、フレームワーク、方法、実践、原則の集合体をビジネスアジリティと呼び、その可能性は無限大です。
すべての部門が変われます。人事から営業、調達、財務、すべてです。テクノロジー、ヘルスケア、製造業でさえ変えられます。プロダクトの製造はより顧客に、チームに、そしてエンドツーエンドの価値の流れに注力します。人々は関わりを深くし、仕事に自分自身の全体を持ち込むことが奨励されます。
そこで、上で説明したビジネスアジリティの文化的理想である「喜び」「エンゲージメント」「目的」を振り返ってみます。アジャイルを実践しているが、喜びをもたらさない場合、自己選択を採用しているが目的意識がない場合、コーチングを受けているがエンゲージメントされていない場合、それをやめて他のことをやってみましょう。
なぜなら、それがすべての秘訣だからです。何をするかは問題ではなく、ただ何かをするだけなのです。これらのアイデアを参考にして、お客様や同僚のために、自分に合った方法を見つけてください。あなたはどのようにして仕事を人生の最高の部分の一つにしていきますか。
-Evan Leybourn
Business Agility Institute 創業者兼CEO
Business Agility Instituteは次世代の企業が現れていると考えています。それらの企業はアジャイルで、革新的で、ダイナミックであり、現代の予測不可能な市場で繁栄できるように設計されています。私たちのミッションは、それらの企業の人々を繋げ、教育し、啓発して、世界中の組織をビジネスの未来へと導く知識と信頼を共有する環境を作ることを奨励することです。
著者について
Shane Hastie氏は、アジャイル学習を改善することを目的とした世界的な認定・認証機関であるICAgileのコミュニティ開発担当ディレクターです。2000年に初めてXPを使用して以来、氏は、ブランドやラベルに関係なく、組織やチームが持続可能で人間的のある働き方を採用できるように支援することに情熱を注いできました。氏は、2011年から2016年までアジャイルアライアンスのディレクターを務めました。氏は、InfoQ.comのCulture and Methods編集チームを率いています。
Ben Linders氏はオランダを拠点とするアジャイル、リーン、品質、継続的改善の独立コンサルタントです。Getting Value out of Agile Retrospectives、Waardevolle Agile Retrospectives、What Drives Quality、The Agile Self-assessment Game and Continuous Improvementの著者です。アドバイザー、コーチ、トレーナーとして、氏は効果的なソフトウェア開発と管理プラクティスを展開することで、組織を支援しています。顧客にビジネス価値を提供するために、継続的な改善、コラボレーション、コミュニケーション、および専門的な開発に焦点を当てています。また、アジャイル、リーン、品質に関するネットワークの積極的なメンバーであり、頻繁に講演や執筆をしており、二ヶ国語のブログ(オランダ語と英語)で経験を共有し、InfoQのアジャイルの編集者としても活躍しています。Twitterは @BenLinders です。
Rafiq Gemmail氏はフリーランスのテクニカルコーチであり、教師であり、ニュージーランドの大手企業で高速なフィードバックの原則をコーチングしてきました。数か国語に通じている人います。彼はモブプログラミングの熱烈な支持者であり、ニュージーランド最大のニュースサイトで1年以上モブを行い、クロスファンクショナルチームをサポートしてきました。氏は、DevOps文化の擁護者であり、ニュージーランドの DevOps Day の主催者の一人でもあります。また、ICAgile認定コーチでもあります。
Craig Smith氏は、ソフトウェア開発者として15年以上のキャリアを持ち、その間に多くの技術を専門としています。彼は10年以上アジャイルの実践者であり、認定スクラムマスターと認定ICAgileプロフェッショナルであり、スクラムアライアンスとアジャイルアライアンスの両方のメンバーであり、現在はアジャイルコーチとして、技術とビジネスプロジェクトでテックリード、イテレーションマネージャ、アジャイルコーチの役割を果たしています。彼は多くの国際会議で発表し、多くのアジャイルとソフトウェア開発の本のレビュアーを務めています。また、熱心なモータースポーツファンです。
Shaaron A Alvares氏はInfoQのDevOps、カルチャー&メソッド編集部のニュースレポーター兼編集者であり、ワシントン州ベルビューのT-Mobileでアジャイル変革コーチ兼トレーナーとして働いています。氏は、認定アジャイルリーダーシップ、国際アジャイルコンソーシアムの認定アジャイルコーチ、アジャイル認定プラクティスナーであり、テクノロジーと組織変革のグローバルな仕事の経験を持っています。BNP-Paribas、NYSE-Euroonext、ALCOA Inc.のようなヨーロッパの様々なグローバルフォーチュン500企業でリーンアジャイル製品とソフトウェア開発プラクティスを導入し、Amazon.com、Expedia、Microsoft、T-MobileでリーンアジャイルとDevOpsプラクティスの採用と変革をリードしてきました。組織のパフォーマンス目標に沿ったアジャイルマインドセットとカスタマイズされた価値主導型プラクティスの導入に焦点を当てています。ブロガー、ライター、地元の組織での講演者であり、Scrum Total、Agnostic Agilなどのグローバルなアジャイル関連の組織の役員、アドバイザー、貢献者でもあります。氏は、フランス国立科学研究センターで修士と博士の論文を発表しました。
Evan Leybourn氏は、アジャイル・ビジネス・マネジメントの分野を開拓し、リーンとアジャイルの成功したコンセプトと実践を企業経営に適用しています。氏は、ビジネスリーダー、コンサルタント、非業務執行取締役、カンファレンスの講演者、世界で出版された本の著者、父親として多忙を極めています。氏は、積極的かつ献身的な人々による、効果的で生産的な組織を構築することに情熱を持っています。民間企業と政府の両方で上級指導者や役員を務めた経験から、ビジネスの敏捷性に関する研究を推進しており、国内外の業界会議で定期的に講演をしています。現在はシンガポールのIBMで働き、彼らがアジャイル組織のリーダーになるための支援をしています。氏の、すべての考え、アイデア、コメントは彼自身のものであり、彼のクライアントや雇用主を代表するものではありません。
Douglas Talbot氏は、技術、エンジニアリング、科学の境界線を越えて、複雑で革新的な製品を構築するチームを作り、リードすることを専門とする、経験豊富な技術と製品のリーダーです。アジャイルとデジタルのアプローチを、国際的に分散された、1000人以上の従業員に拡大し、24時間365日のオペレーションを実現してきました。氏は、チームの構築、優れた文化、そして優れた人材を惹きつけることに強みを持っていることで知られています。